懐かしい思いと共に

先日、八日九日の一泊二日で、

奈良のご寺院さまへご挨拶とご相談を兼ねて伺ってまいりました。

最近は、参加させていただいていた勉強会も一通り終わってしまい

夏の棚経以外ではほぼ関西方面へ出向く機会は少なくなりました。

さて今回は、當山の徒弟が本山醍醐寺にて

伝法灌頂(真言宗の僧侶になる為の儀礼)に入壇しましたので

先ずは灌頂を終えた弟子の晴れやかな姿を見届け、迎えに行くこと、

その後の進路についてのご相談も兼ねて、

奈良のご寺院さまへのご挨拶が今回の主な目的でした。

私の伝法学院卒業式にも山形の師僧が母親を連れてお迎えに来て下さり

とても嬉しい気持ちだったのを覚えております。

私自身、僧侶になってからたかだか十数年でありますが

すっかり干支も一巡いたしました。当時のことを思い返すと、

懐かしさとともに、さまざまな思いが自然とよみがえってまいります。

自分も通ってきた道であるからこそ、

その心境は手に取るように分かります。

誰かに頼まれて僧侶を目指したわけでもなく、

後継のために僧侶となったわけでもありません。

お寺とは縁もゆかりもないところから、

自ら選び、志して進んできた道であります。

世間一般には、僧侶だ、住職だと聞くと、たいそう学識があり、

厳しい修行を積んできた存在というイメージを持たれることも

多いかと思います。しかし実際のところは、本山の定める修行課程、

いわば資格取得のための規定の修行を修了した。

というのが正直なところです。

もちろん、その過程には相応の厳しさもありますが、

それ以上に、社会で生きていくことの方が今となっては

よほど大変だと、現在、私自身が染み染みと実感しております。笑

僧侶という資格を得たからといって、

翌日から何かが劇的に変わるわけではなく、

昨日と同じように今日があり、明日がやってくるだけです。

私自身の経験からしか道を示すことはできませんが、

それでも少しでも良い環境を整えてあげたいとの思いから、

来年の秋より、弟子を奈良のご寺院さまにお預けし、

今後のご指導と実務経験を積ませていただくことが決まりました。

僧侶とは、住職になることや寺院に専属的に関わることが

目的やゴールでもなく、その人の生き方そのものだと私は考えております。

ただ、その境地に向かうためにも一般的な寺院で僧侶が日々行っている

法務をこなしながら檀信徒や他の僧侶とも関わり、

兎に角一通り経験することは、やはり必要なことだと思います。

学問は言うに及ばず僧侶にとって欠かせないもの。

これから多くの経験を重ねながら、

自身の仏道をしっかりと歩んでいってもらいたいと願っております。

最後になりましたが、これまで温かいお声がけと励ましをくださった

當山の信徒さま、ご近所の皆さま、友人知人の皆さま、法友の先生方

そして伝法灌頂にあたりお世話になりました本山の皆様に

あらためて心より御礼申し上げます。

合掌

写真は本年度、伝法灌頂において醍醐寺清瀧宮を拝する入壇者ら