開眼法要 〜北の国〜から

今月2日より、伝法学院時代の同期僧の御自坊である

北海道美唄市の大心寺様へ、法要助法のためお伺いしてまいりました。

人生初の北海道上陸。道路も広く建物や看板も大きくてまさに北の大地。

田んぼや畑の大きさには想像以上でびっくりしました。

空港からお寺までの道のりは小一時間ほどでしたが

行きも帰りも野生の動物を何回か見かけました。

鹿や狸、北ギツネもひょっこり出てきます。

さて、久しぶりに再会した同期や先輩方、後輩僧、

そしてご住職である同期生のお父上やご家族、

さらには大勢の檀信徒の皆様とご一緒に法要を厳修いたしました。

今回の主題は、大威徳明王(だいいとくみょうおう)さまの開眼法要。

一般の方にはあまり馴染みのない仏尊かもしれませんが、

不動明王を中心とした五大明王の一尊として知られる明王さまです。

今回は一尊としてのご奉安とのことでございました。

職衆として参座するにあたり、

同期の副住職より、このご尊像が大心寺さまにお越しになるまでの

深いご縁を伺い、その重みを感じつつ、身の引き締まる思いで

お勤めさせていただきました。

この大威徳明王さまは梵名をヤマーンタカ、六足尊ともいい、

阿弥陀如来の所変、すなわち「蓮華部の教令輪身」であり

五大明王にあっては西方の守護者とされております。

この度、開眼されたこちらのお姿は同じく憤怒相ですが、

水牛に六本足で跨がれ、六面六臂にして、矢を構え

それは今にでも飛んでいきそうなほどの躍動感がありました。

その禍々しさも併せ持つお顔はまさに畏敬すべき形相でありますが、

その奥底には大慈大悲のお心があるからこそ、

このようなお姿をわざわざとっていらっしゃるという事です。

それは悪縁を断ち、湧き起こる悪心を降伏し私たち衆生を守る

大きな慈悲の力が秘められているのです。

法要では、副住職より檀信徒の皆さまへ、

明王さまの功徳について丁寧なご説明がありました。

また、このご尊像を描かれた絵師の先生のお話も大変印象深く、

一人の人間が丹精を込めて描き上げた「作品」が、

こうして僧侶と大勢の信徒様がたの祈りを受けて、

真に礼拝の対象となる仏さまへと変わる尊さを感じました。

今回は咒立ての法要となりましたがその迫力はまさに

大威徳明王さまにふさわしい法要そのものであったと思います。

参列された皆さまの喜びと感動が、お堂全体に溢れていたように思います。

また今回、参列なさった檀家さまの中には、「福島のお坊さまですか?」と

お声をかけてくださった方がおられました。

なんと、私の自坊の隣町から戦後にこちらに嫁いで来られたという方で、

母と同い年だと伺い、まさに不思議なご縁を感じました。

短い時間ではありましたが、最近の福島ローカルニュースも含め

またいつか必ずお会いしましょうと最後お声をかけお別れいたしました。

このたび、尊いご法縁の場にお招きいただいた事、

微力ながらもお手伝いできましたこと、心よりありがたく思っております。

北の大地でのご縁に感謝しつつ、

この経験を今後の修行布教に生かしてまいりたいと思います。

合掌