お盆とご供養の心

8月2日より、お手伝い先の寺院さまのお盆参りに

順次伺わせていただいております。

一般的に「お盆」とは8月13日(迎え火=盆の入り)から

8月16日(送り火=盆明け)までの4日間を指します。

一部の関東地域では、明治時代に旧暦から新暦へ移行した際、

当時の政府の方針に従い、新暦7月15日を中心に

お盆を行うようになりました。

これにより、現在でも東京やその周辺などでは、

7月13日~16日をお盆とする「新暦7月盆」が行われています。

さて、お檀家さまや信徒さまのお宅をお参りしていると、

この時期はさまざまなご質問をいただきます。

特に多いのが仏壇の祀り方や宗派の違いに関するものです。

たとえば

「お嫁さんのご両親が他界し、一人娘なのでご実家のお位牌だけでも持ってきて供養したい。でも、宗派が違う。ひとつの家に宗派の違う仏壇や位牌を置くと、ご先祖同士が喧嘩して災いが起きると聞いたことがあるが、大丈夫なのか?」

こうしたご相談は、実際によく耳にします。

結論から申し上げますと

同じ家の中(同じ姓のもと)で他家の仏壇や位牌を安置することには、

何ら問題はありません。

宗派の違いはあっても、仏教の根本はお釈迦さまの教えであり、

その大元は同じです。時代の流れや教義の解釈の違いによって

多くの宗派が生まれましたが、その本質は「いのちを尊び、敬う心」です。

そして、災いなど起こるはずもなく、

先祖が子孫を苦しめるようなことは決してありません。

ご先祖様は、常に子孫の幸せと安寧を願ってくださる存在だと思います。

そして、何より大切なことは

今を生きる私たちが、真心からご先祖や亡き方々をご供養すること。

その心が、私たちの中に慈悲の心を育み、その廻向は巡り巡って、

私たち自身の積善へとつながっていきます。

もちろん、ご先祖様や亡くなられた仏さまを敬うことは大切です。

しかし同時に、日々の暮らしの中で他者への思いやりを忘れないことも、

同じくらい大切だと思います。

「私が苦しみを持っているように、他者もまた苦しみを抱えている 」

そうした共感と寄り添いの心こそが、仏教の実践そのものであり、

日々の供養の根幹だと感じております。

合掌