月例〜観音縁日〜准胝観音さまについて
毎月18日は観音さまのご縁日です。
当院でもそれにならい、本尊・准胝観音さまのご縁日として
大切にお勤めしております。
なお、お寺によっては21日を准胝観音さまの
ご縁日としているところもございます。
さて、この准胝観音(じゅんていかんのん)さまですが、
あまり耳にされたことのない仏さまかもしれません。
聖観音・十一面観音・千手観音・馬頭観音・如意輪観音といった
観音さま方は、西国三十三所をはじめとする札所でも広く知られており、
皆さまも一度はお名前を聞かれたことがあると思います。
しかし准胝観音さまは、西国三十三所霊場では第十一番札所の上醍醐寺
にのみお祀りされているのみで、全国的にも作例は非常に少なく、
ましてや本尊として祀る寺院はかなり少数でございます。
その理由については諸説ありますが、
他の観音さまが現世利益的な功徳で広く信仰を集める中、
准胝観音さまは密教修法における専門的な尊格であったことで
大衆には少し分かりにくい存在となっていたことが考えられます。
とはいえ、高野山にも准胝堂があり、弘法大師が弟子たちの
得度の本尊として自ら建立されたと伝えられております。
また醍醐寺においても開山・聖宝理源大師が最初に自ら刻んで
お祀りされた仏さまは、この准胝観音さまでした。
このような史実からも分かる通り、
そのご利益の特色として最も大きいのは「滅罪」でございます。
もちろん、延命・除病・安産・子授けなどの功徳もありますが、
何よりも「罪障を滅する」清浄第一の仏さまとして、修行者を導き、
母のように包み込んでお守りくださるのが准胝観音さまです。
現在でも高野山においては、お大師さまの故事にならい、
得度式の本尊として大切にされています。
また、宗派(特に密教諸派)によっては、
准胝観音さまを観音菩薩と位置づける場合もあれば、
佛母(如来)とみなす場合もございます。
実際には両方の性格を兼ね備えておられるといえるでしょう。
慈悲深く、真摯に仏道に向き合う者を守護し、導いてくださる姿は、
まさしく佛母、母親のような仏様でございます。
密教においては七倶胝仏母(しちくていぶつも)とも呼ばれ、
無数の仏を生み出す母とされ、大変心強い本尊さまといえます。
なお、当院では月例として18日には13時半より
本尊・准胝観音さまの法要を厳修しております。
どなたでもご参座いただけますし、皆さまで観音経をお唱えしております。
合掌
