毎日の祈りとお施餓鬼
お寺における日々の勤めは、まさに毎日のことであります。
朝にはご本尊さまをはじめ、当院にお祀りしている諸尊諸神さまへ、
閼伽水(あかすい)、仏飯、お茶をお供えし、
朝夕の例時勤行をお勤めいたします。
そして、もう一つ。
当院において大切に続けている日課があります。
それが「施餓鬼(せがき)」と呼ばれる、夜に修する特別な作法です。
施餓鬼という言葉は皆さまも一度は耳にされたことがあるかもしれません。
きっとご実家の菩提寺さまなどでも、お盆やお彼岸の折に施餓鬼棚を設け、
山海の珍味をお供えし、塔婆を建立して、有縁無縁の精霊、
さらには三界萬霊のご成仏を願って法要が営まれていることでしょう。
宗派によって読経や作法の違い、顕密それぞれに特色はありますが、
大きな意味としては共通しており、「餓鬼道に苦しむ霊への施し」
を通じて、供養と自他の善行を積むという点にあります。
中でも真言宗において、
とりわけ祈祷修法を主とする寺院においては、
行者がその修力を高めるため、また日々の積善として、
施餓鬼は欠くべからざるものと言われ大事にされてきました。
私も、ある先輩僧侶の背中を見て始めた施餓鬼ですが
来月で丸三年となります。
これからも、自身の祈りと修行として、また日々の積善として、
続けていける限りは真摯にお勤めしてまいりたいと思っております。
合掌
