「テンノウサマ」きゅうりの神さま

本日は、きゅうり封じ祈祷会を修行させていただきました。

皆様の身体健全・闘病平癒・疫病退散を心より祈念申し上げました。

この行事も今年で四回目を迎えました。

年に一度の祈祷ではございますが、今年は準備も滞りなく整い、

無事に修行できましたことを感謝申し上げます。

さて本日7月20日は、当院の向い側に鎮座する

八雲神社(旧天王社)の宵祭でもあります。

地域の方々には今でも「テンノウサマ」きゅうりの神様で親しまれており、

特にお祭りの折には、初物のきゅうりをお供えする風習がありました。

私が子どものころには、各家々できゅうりを供えて

参詣する光景が当たり前でしたが、

今ではそのような風習もほとんど見られなくなってしまいました。

少し寂しくはありますが、過疎化や世代交代の中で、

伝える人がいなければ、風習もまた静かに姿を消していく

まさに「諸行無常」でございます。

「きゅうり封じ」と申しますと、

全国的には土中に埋める習わしが知られておりますが、

当地ではそうした風習は伝わっておらず、

年配の方々に伺っても、そのような話は聞かれません。

伝承がなかったのか、途中で途絶えたのかはわかりませんが、

地域ごとの信仰のかたちがあることを改めて感じさせられます。

ちなみに、当院の山号「天王山」は、

この八雲神社の旧社名「天王社」に由来しております。

幼少のころより深いご縁をいただいてきた神社への感謝と敬意を込め、

開山の際に畏れ多くもその名をいただきました。

また、当院では牛頭天王の御神像を鎮守の一柱としてお祀りしており、

この「きゅうりのお祭り」もまた、年に一度ではありますが、

しっかりと継承してまいりたいと考えております。

小さな祈りの火を絶やさぬよう、地域とともに歩む寺でありたいと

そんな思いを込めて、本日の祈祷を修させていただきました。

合掌