甲子〜大黒天縁日
本日、当院では甲子(きのえね)の縁日にあたり、
大黒天神の一座行法を厳修いたしました。
大黒天をお祀りする寺社では、60日に一度巡ってくるこの甲子の日に、
さまざまな祭事や行法が修行されております。
甲子とは「十干十二支」の組み合わせの一つですが、
この詳しいお話はまた次の機会に触れたいと思います。
さて、当院には本尊さまをはじめ、さまざまな神仏をお祀りしております。
その中でもお大黒さまは、私が僧侶となり最初にご縁をいただき
お迎えした天部尊でございます。
一般的に天部尊と聞くと特に金銭面の願いや出世・繁栄など、
世俗的な欲望に関する祈願で拝まれるイメージが強いかもしれません。
そしてこのようなご利益は現世利益という
言葉を使って説明される事も多いですが
本当の意味としては半分間違いとも言えるのです。
現世利益とはあくまで仏道を歩む中で生じる障害を乗り越えるために
毎日の生活の中で蓄積していくものであり、それら障害や苦難を乗り越え、
それに自ら気付いた時に初めて現世利益となりえるのです。
先に述べた欲望的な願いを満たしてくれたとしても
その逆もまた然りです。これも現世利益と言えるのではないでしょうか。
現世利益とは三宝に帰依する私たちに様々な気付きを与えてくれるもの。
気付かなければ、それは何も変わらないと一緒。
さて当院では護法の神としての大黒さまの性格を大切に、
日々お勤めさせていただいております。
この、お大黒さまのお経であります
「仏説摩訶伽羅大黒天神大福徳自在円満菩薩陀羅尼經」
にはこのように書かれております。
「もし寺院や家庭で大黒天をお祀りし、心から尊敬をもって供養すれば、
大黒天とその多くの眷属がその処を守護し、
毎日千人に施しを与えるような功徳がある」
と説かれております。
また、比叡山延暦寺に伝わる「三面大黒天」も有名であり、
これは伝教大師最澄さまの縁起に基づくものと伝えられています。
当院も開山より四年目を迎えますが、これまで寺の活動においては
本当にお大黒さまに助けていただいていることを実感しております。
今後も仏教寺院としての布教はもとより、
法印(修験)として地域の生活に寄り添い、
少しでもご縁を頂いた皆様のお役に立てるよう
今後も努めてまいりたいと思います。
合掌

